FP3級 2020年9月 実技(金財:個人)問11

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問11

建設協力金方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 「建設協力金方式とは、AさんがX社から建設資金を借り受けて、X社の要望に沿った店舗を建設し、その建物をX社に賃貸する手法です。借主であるX社のノウハウを利用して計画を実行できる点はメリットですが、X社が撤退するリスクなどを考えておく必要があります」
  2. 「建設協力金方式により、Aさんが店舗をX社に賃貸した後にAさんの相続が開始した場合、相続税の課税価格の計算上、店舗は貸家として評価され、甲土地は貸家建付地として評価されます」
  3. 「建設協力金方式により建設した店舗の賃貸借契約は、契約の更新がありません。賃貸借契約では、借主であるX社が賃貸借契約満了後に店舗を撤去し、貸主であるAさんに甲土地を更地で返還することが保証されています」

正解 3

分野

科目:E.不動産
細目:7.不動産の有効活用

解説

建設協力金方式は、建物を土地所有者が建設し、その建築資金の全部または一部をテナント等から貸与された保証金や建設協力金で賄う事業方式です。ロードサイドのスーパーやコンビニ、ガソリンスタンドやファミリーレストランなど等でよく用いられています。

本問の場合だと、Aさんが大手ドラッグストアのX社から建築協力金を借り受けて、甲土地に店舗を建築し、建築資金の返済額とX社から受ける店舗の賃貸料の差額を収益とするビジネスモデルとなります。
  1. 適切。建設協力金方式では、建築される建物がテナントの仕様に合わせた構造となり、用途の汎用性が低いものとなるので、賃貸借契約の終了に伴うテナントの撤退が事業リスクとなります。設例でも大手ドラッグストアの店舗として建築してしまうと、賃貸借契約終了後、次の借り手が見つかりづらいと言えます。
  2. 適切。建設協力金方式では、土地所有者が建物を建築するので、土地所有者=建物所有者になります。X社に貸している建物は「貸家」、自分の土地に自ら所有する貸家が建っているので土地は「貸家建付地」として評価されます。
  3. [不適切]。建設協力金方式における建物賃貸借契約の期間は5年~20年が一般的ですが、更新がないとは限りません。また定期借地権契約ではありませんから、建物の借主が更地にして返す義務もありません。本肢は「事業用定期借地権方式」を採用した場合の利点について述べたものです。
したがって不適切な記述は[3]です。