FP3級 2019年9月 実技(金財:個人)問11

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問11

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 「Aさんが相続により取得した実家の家屋と甲土地を譲渡し、本特例の適用を受けた場合、最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」
  2. 「家屋を取り壊して、甲土地を更地にした場合、本特例の適用を受けることはできませんので、家屋は現況の空き家のままにしておいてください」
  3. 「本特例の適用を受けるためには、確定申告書にX市から交付を受けた被相続人居住用家屋等確認書を添付する必要があります」

正解 2

分野

科目:E.不動産
細目:5.不動産の譲渡に係る税金

解説

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、本特例)」とは、相続や遺贈によって取得した被相続人の居住用財産であり、その後、空き家になっていたものを一定期間内に譲渡した場合に、その譲渡所得の金額から3,000万円を控除できる特例です。

本特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住用となっていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまるものをいいます。
  1. 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと(旧耐震基準)
  2. 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  3. 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
本特例の適用を受けるためにはいくつかの要件があります(一部を抜粋)。
  1. 売った人が、相続または遺贈により対象となる家屋および敷地を取得したこと
  2. 対象となる家屋を売るか、家屋と敷地等をセットで売る、または、家屋の全部の取壊し等をした後に敷地等を売ること
  3. 相続開始日の3年後の年の12月31日までに売ること
  4. 売却代金が1億円以下であること
  5. 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと
  1. 適切。母Bさんは相続の直前において実家に住んでおり、その後空き家になっています。Aさんは実家を相続により取得しているため、本特例の適用を受けると譲渡所得の金額から最高で3,000万円を控除できます。
  2. [不適切]。特例の名称に「空き家の」と付いていますが、対象となる家屋を取り壊してから敷地等を売却しても本特例の適用を受けられます。
  3. 適切。本特例の適用を受けるためには、市区町村から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」を確定申告書に添付する必要があります。「被相続人居住用家屋等確認書」は、相続の開始の直前の使用状況、相続後の使用状況について証明するための書類です。
    他にも譲渡所得の内訳書、売った資産の登記事項証明書等、売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの、耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しなどを添付する必要があります。
したがって不適切な記述は[2]です。