FP3級 2015年10月 実技(金財:保険)問9
問9
Mさんは、設例の長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約するもの)について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。- 「仮に、X社が保険期間中に資金を必要とした際に、契約者貸付制度を利用することができれば、当該保険契約を解約することなく、資金を調達することができます」
- 「仮に、当該保険契約を長男Bさんが65歳時点で解約した場合、多額の雑損失が計上されるため、解約した事業年度の経常利益が大幅に減少する可能性があります」
- 「仮に、X社の経営状態が悪化した場合、当該保険契約の解約返戻金を、売上や利益の減少をカバーするための資金として活用することができます」
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正解 2
分野
科目:B.リスク管理細目:3.生命保険
解説
- 適切。契約者貸付制度は、解約返戻金の一部を保険会社から借り入れられる制度です。借入限度額は、一般的に解約返戻金の70~90%が相場となっています。なお、貸付金については一定の利息がかかります。
収入の減少などにより一時的に保険料の払い込みが困難になった場合や、急にまとまった資金が必要となった際に保険契約を解約せずに資金を調達することができます。
提案を受けている生命保険が契約者貸付制度に対応していれば、X社は解約返戻金の7~8割程度の範囲内でお金を借りることができます。 - [不適切]。Bさんが65歳で解約した場合、40歳から25年間保険料を支払うことになります。この25年間は保険期間の前半6割の期間ですので、解約時点で資産計上されている「前払保険料」の額は以下のように求められます。
(210万円×25年間)×1/2=2,625万円
死亡保険金又は解約返戻金を受け取った場合、資産計上されている分との差額を雑収入又は雑損失として計算します。よって、解約時の仕訳は次のようになります。解約返戻金が資産計上した額を上回っているので、雑損失ではなく雑収入として益金の額に計上することになります。 - 適切。長期平準定期保険は、解約返戻率のピークを迎えるのが比較的早く、またそれが長い期間続くので、法人において税負担を軽くしながら緊急時に使える予備資金を簿外に積み立てる手段としても活用されています。
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