FP3級 2022年5月 実技(FP協会:資産設計)問15

問15

近藤恭子さん(60歳)は、母親である杉田保子さん(85歳)の相続について、FPで税理士でもある村瀬さんに相談をした。相続税の債務控除に関する村瀬さんの次の説明のうち、最も適切なものはどれか。なお、保子さんの相続人は、債務控除の適用要件を満たしているものとする。
  1. 「保子さんが生前に受けた治療に係る医療費で未払いとなっているものは、債務控除の対象となります。」
  2. 「保子さんが生前に購入した墓碑の購入代金で未払いとなっているものは、債務控除の対象となります。」
  3. 「保子さんのご葬儀の際に受け取った香典の返戻に要する費用は、債務控除の対象となります。」

正解 1

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

相続税の課税価格の計算上、相続人が負担した債務の金額は、取得財産の価額から控除されます。これを債務控除といいます。債務控除の対象となるのは、相続人が承継した債務、相続開始時に確定している未納の税金、葬式費用などです。
  1. [適切]。相続人が医療費を負担することになるので債務控除の対象となります。
  2. 不適切。墓碑の未払代金は債務控除の対象となりません。墓地・墓石・仏壇・仏具は非課税財産として相続税の対象にならないからです。もし債務控除の対象になるのであれば、借入金で高額なお墓を買うことにより相続税逃れができてしまいます。
  3. 不適切。香典返戻費用は債務控除の対象となりません。香典は被相続人の財産ではないので相続税の対象とならず、また社会通念上の常識の範囲内であれば相続人に所得税が課されることもありません。このため香典に対して発生した費用である香典返戻費用は、債務控除の対象外となっています。
したがって適切な記述は[1]です。