FP3級 2016年9月 実技(金財:保険)問13

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問13

Aさんの相続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 「Aさんの相続開始後に遺産分割をめぐるトラブルが起こらないように、遺言書の作成を検討してください。民法で定められている普通の方式による遺言のうち、公正証書遺言は、作成された遺言書の原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのおそれがなく、安全性が高い遺言といえます」
  2. 「生命保険に加入していないのであれば、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長女Cさんとする終身保険への加入を検討してください。加入後、Aさんの相続が開始した場合、長女Cさんが受け取る死亡保険金は1,000万円を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます」
  3. 「契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を長女Cさん、被保険者をAさんとする終身保険に加入することにより、二女Dさんに対する代償交付金を確保することができるとともに、相続税における死亡保険金の非課税金額の規定を活用することもできます」

正解 1

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:3.相続と法律

解説

  1. [適切]。普通方式の遺言書の作成方法には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類あります。
    公正証書遺言は、遺言者が口述した内容を公証人が筆記することで作成され、原本が公証役場に保管されます。公証人には、元裁判官や元検察官法務省職員などが任命されていますので、法律に則った遺言を残せます。これらの特徴から安全・安心な遺言方式といえます。
  2. 不適切。相続税法上、相続人が受け取る死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」までの金額を非課税とする規定があります。本問では、法定相続人は妻Bさん・長女Cさん・次女Dさんの3人ですので、非課税限度額は「500万円×3人=1,500万円」となります。本肢では「1,000万円」としているため誤りです。
  3. 不適切。長女Cさんと二女Dさんとの間で争いを防ぐための方法の一つとして代償分割があります。長女Cさんが賃貸ビルを相続するならば、DさんにはCさんから現金などで代替となる財産を支払うという方法です。Cさんを受取人とする終身保険に加入することは、Dさんに交付するための自己財産をCさんに残すための策として有効です。
    死亡保険金の課税関係は、契約者・被保険者・受取人の関係によって以下のように分かれます。
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    肢2のように、契約者と被保険者が同一である終身保険の死亡保険金を受け取った場合には、相続税の課税対象となり死亡保険金の非課税金額の規定を活用することができます。しかし、本肢のように契約者と受取人が長女Cさん、被保険者をAさんとする終身保険の場合、死亡保険金は長女Cさんの一時所得となり所得税の課税対象になります。所得税には死亡保険金の非課税枠の措置はありませんので、Aさんへのアドバイスとしては不適切です。
したがって適切な記述は[1]です。