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FP検定9月試験での法令改正点一覧

非常に残念ながら、2020年5月24日に実施予定だったFP検定5月試験は新型コロナウイルスの影響により中止(延期措置なし)となってしまいました。9月試験では法令基準日が2020年4月1日となるので、昨年刊行された5月試験対応テキストから変更点が多数あります。この記事では、5月試験を目指していた方がテキストを買い直す必要がないように、主要な改正点を6分野に分けてまとめています (※最終更新日2020年5月27日)。

①ライフプランニング

基本年金額の変更
その他、加給年金額や中高齢寡婦加算、経過的加算の月額も改訂されていますが、試験問題で金額が与えられるので割愛します。
雇用保険料の高齢免除の廃止
これまで65歳以上の被保険者からは雇用保険料の徴収が免除されていましたが、2020年4月1日からは65歳以上の人についても事業主と折半で雇用保険料を納めることになりました。
教育一般貸付で上限450万円の範囲拡大
以前は海外留学のみが対象でしたが、①自宅外通学、②修業年限5年以上の大学(昼間部)、③大学院に該当する人の上限も450万円になりました。

②リスク管理

法人契約の定期保険経理処理の変更
過度な節税保険を見直すため、長期平準定期保険や逓増定期保険及び第三分野の保険などに対する個別通達が廃止され、解約返戻率を基準にした仕訳に統一されました(当初は試験問題で速算表が与えられると思います)。遡及適用はなく、令和元年7月8日以後に契約する法人定期保険に適用されます。

③金融資産運用

上場株式等の引渡日の変更
上場株式等の引渡日が取引日から起算して3営業日目に短縮されました(以前は4営業日目)。
つみたてNISA非課税期間の延長
従来は2037年までとされており開始する年度が遅くなるほど非課税期間が短くなる制度設計でしたが、2037年までにつみたてNISA口座で投資開始すればその年から20年間非課税となるように変更されました。

④タックスプランニング

基礎控除
38万円から48万円に増額されました。また、所得制限が新設されました。
給与所得控除額
基礎控除の増額に伴い、一律10万円引き下げられました。最低額は55万円、上限は195万円となりました。
上限が引き下げられたことにより、給与収入850万円超の人にとっては増税となります。ただし、子育てや介護に対して配慮する観点から、同一世帯内に23歳未満の扶養親族又は特別障害者である扶養親族などがいる人については、負担が増えることのないよう、所得金額を調整する制度が設けられました(所得金額調整控除)。これらの方々については給与収入から所得金額調整控除額を併せて控除することで以前と同じ控除額(基礎控除の増額を含む)になる仕組みです。

 所得金額調整控除額=(給与収入-850万円)×10%

公的年金等控除額
基礎控除の増額に伴い、一律10万円引き下げられました。65歳未満の人の最低控除額は60万円、60歳以上の人の最低控除額は110万円になりました。また、公的年金等以外の所得の合計額が1,000万円超の人は、さらに控除額が10万円または20万円引き下げられます。
人的控除の所得限度額
基礎控除の増額に伴い、一律10万円引き上げられました。配偶者控除、扶養控除は合計所得金額48万円以下、配偶者特別控除は48万円超133万円以下が要件となりました。なお、給与収入のみで年間収入が103万円以下であれば控除対象となることは変わりません。
勤労学生控除の所得要件や、寡婦控除・寡夫控除の子の所得要件も10万円引き上げられていますが出題されそうもないので割愛します。
寡婦(夫)控除の見直し
従来は寡夫にだけ合計所得金額500万円以下という所得制限が設けられていましたが、これが寡婦にも設定されました。また、死別・離別でない「未婚のひとり親」が寡婦(夫)控除の適用を受けられるようになりました。
青色申告特別控除額
上限額は65万円のままですが、65万円の控除を受けるには①仕訳帳及び総勘定元帳の電子帳簿保存、または②e-Taxでの申告のいずれかが必須となりました。この要件を満たさない場合には最高55万円の控除となります。基礎控除が増額された分、個人事業主やフリーランスの方にとっては減税となります。
消費税率
2019年10月1日から消費税率が10%になりました。飲食料品(一部を除く)と定期購読契約に基づき週2回以上発行されている新聞については8%の軽減税率が適用されます。
住宅ローン控除
2019年10月1日から2020年12月31日の期間に消費税10%で住宅を取得した場合、最長13年間住宅ローン控除が受けられます(2021年以降は10年に戻ります)。1~10年目は年末残高の1%、11~13年目は、「年末残高の1%」と「税抜き建物価格×2%÷3」のいずれか少ない金額が控除額となります。
ふるさと納税
制度の趣旨に反する過度な返礼品競争を防ぐため、総務大臣による指定を受けていない地方団体に対する寄附は、ふるさと納税の対象外となりました。また、返礼品に「寄附金の3割以下の地場産品」という基準が設けられました。

⑤不動産

準防火地域に係る建ぺい率の緩和
以前から防火地域内の耐火建築物には10%の緩和が認められてきましたが、新たに準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等についても10%の緩和を受けられるようになりました。
危険負担の見直し
今までは買主負担でしたが、民法改正により売主負担に変わりました。
これは、契約から引渡しまでの間に、売主・買主どちらにも帰責事由がない天災等で建物等が滅失した(履行不能になった)場合に、そのリスクをどちらが負担すべきかという問題です。以前は売主の建物引渡し債務が消滅する一方、買主の代金支払い債務は残ったままとなり、建物の引渡しがないのに代金を支払うことが民法上の規定でした。この規定は不合理であったため、民法改正により買主は代金支払いを拒絶できるようになりました
瑕疵担保責任の見直し
売主や請負人の瑕疵担保責任における瑕疵(かし)という文言が「契約の内容に適合しないものであるとき」と明記されたことに伴い、瑕疵担保責任が契約不適合責任(または"瑕疵"を抜いて担保責任)となりました。契約責任説が採用され、これまで買主が知っていた瑕疵について売主は責任を負わないとされていましたが、改正により買主が知っていた不適合であっても、その内容が契約で定められていない場合には売主が責任を負うこととなりました。

⑥相続・事業承継

配偶者居住権(長期・短期)の新設
被相続人と同居していた配偶者が、引き続きその自宅に住み続けられるように配慮した制度です。
  • 配偶者居住権(長期)
    相続対象となった建物の価値を所有権と居住権に分け、所有権を子が、居住権を配偶者が取得することで、配偶者が終身その自宅に住み続けられる仕組みです。長期の配偶者居住権は遺産分割で取得するか、遺贈の目的とされることが必要です。また配偶者居住権は設定登記をしなければなりません。
  • 配偶者短期居住権
    配偶者が相続人の所有していた建物に無償で住んでいた場合、上記の配偶者居住権(長期)を取得していなくても、①遺産分割により建物の帰属が確定した日、または②相続開始日から6カ月後のいずれか遅い日まで、引き続きその自宅に無償で住み続ける権利が認められました。
預貯金払戻し制度の新設
遺産分割前であっても、被相続人名義の口座から「預貯金の額×1/3×法定相続分」までを、単独で払戻し可能となりました。ただし、同一金融機関からの払戻しは150万円が限度です。
遺留分侵害請求権
以前の「遺留分減殺請求権」が民法改正により「遺留分侵害請求権」という呼び名に変更されました。請求権行使による不動産の共有等を防止するため金銭での請求ができるようになりました。
特別寄与分請求権の創設
被相続人の親族であり相続人以外の者(孫や子の配偶者等)が、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合は、相続開始後、相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求できるようになりました。遺産分割会議に参加できるようになったわけではないので注意しましょう。
教育資金一括贈与の特例の変更点
  • 学校等に在籍している、または教育訓練給付金対象の教育訓練を受けている場合は、受贈者が40歳まで教育資金口座に係る契約期間を延長できるようになりました。以前は30歳で終了でした。
  • 2019年7月以降に行われる贈与では、教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるもののうち、塾や習い事の対価が除外されました。23歳以降の学校以外に支払う教育資金としては「教育訓練給付金対象の教育訓練」のみが認められます。
以上、2019年刊行のテキストからの主要な改正点をまとめてみました。不足や追加すべきことがあれば随時更新していくので、掲示板等や問い合わせフォームから情報提供をしていただけると助かります。